ぼくの本棚297

村上春樹/夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

16 12月

村上春樹インタビュー集1997-2009

12月の風が
肌と脳を繋ぐ、凍える寒さに変わると
急にウオッカやウイスキーなどの
強い酒で内蔵を暖めたくなる。

そんな時、
村上春樹をふいに読みたくなる。

最初は気がつかずに飲んでしまう強い酒も、
グラスを空けるうちに
普段の自分と違う意識のずれを感じ、
急に酔いが回り始める。

現実と幻想のずれに気づき、
そう思った時にはもう遅い、あの不安定な酔いの感覚が
なんとなく村上春樹の小説に似ているのだ。

本書は、いまさら説明不要の
ノーベル文学賞に最も近い
世界のハルキの貴重なインタビュー集だ。

オウム真理教について60人以上の人にインタビューした
「アンダーグラウンド」を振り返るくだりがある。

「我々自身の中にも、やはり狂気や、
正常ならざるものや、不適当なものはあるかもしれません。
僕は自分の暗闇の中に存在するかもしれない
そのようなものを、もっとよく見てみたいと感じました」

「彼らの話はどれも、僕の心に、頭に、魂に残っています。
僕がその経験から学んだことは、物語というのは、
たとえ見栄えが悪く、スマートでなくても、
もしそれが正直で強いものであれば、きちんとあとまで残る
ということでした」

村上春樹の作品で感じる、現実と夢の狭間に落ちたような、
あの矛盾やリアリティのある心地良さは
こんなところからきている。

あなたは、この便宜的で堕落した矛盾だらけの社会で、
何を夢見て、何に覚醒しているだろうか。

編集長 尾中謙文

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