Archive for 12月, 2010

ぼくの本棚297

村上春樹/夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです


16 12月

村上春樹インタビュー集1997-2009

12月の風が
肌と脳を繋ぐ、凍える寒さに変わると
急にウオッカやウイスキーなどの
強い酒で内蔵を暖めたくなる。

そんな時、
村上春樹をふいに読みたくなる。

最初は気がつかずに飲んでしまう強い酒も、
グラスを空けるうちに
普段の自分と違う意識のずれを感じ、
急に酔いが回り始める。

現実と幻想のずれに気づき、
そう思った時にはもう遅い、あの不安定な酔いの感覚が
なんとなく村上春樹の小説に似ているのだ。

本書は、いまさら説明不要の
ノーベル文学賞に最も近い
世界のハルキの貴重なインタビュー集だ。

オウム真理教について60人以上の人にインタビューした
「アンダーグラウンド」を振り返るくだりがある。

「我々自身の中にも、やはり狂気や、
正常ならざるものや、不適当なものはあるかもしれません。
僕は自分の暗闇の中に存在するかもしれない
そのようなものを、もっとよく見てみたいと感じました」

「彼らの話はどれも、僕の心に、頭に、魂に残っています。
僕がその経験から学んだことは、物語というのは、
たとえ見栄えが悪く、スマートでなくても、
もしそれが正直で強いものであれば、きちんとあとまで残る
ということでした」

村上春樹の作品で感じる、現実と夢の狭間に落ちたような、
あの矛盾やリアリティのある心地良さは
こんなところからきている。

あなたは、この便宜的で堕落した矛盾だらけの社会で、
何を夢見て、何に覚醒しているだろうか。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚296

植草一秀/日本の独立


08 12月

植草さんとは、
以前、野村証券の子会社設立パーティーで
僕が挨拶をさせていただいた時、
会長の田淵さんから
野村総研の方だとご紹介いただいただけで
詳しいことは何一つ知らない。

しかし、本書を読むにつれ
エコノミストとしての、植草さんの
深い知識、鋭い情報統合力、未来を読む慧眼さが
今、世の中で役立てられない
日本の政治的環境に、痛みといらだちを感じた。

日本振興銀行を倒産させた木村剛について、
植草さんは、事実が明るみになる以前から、
著書の中で親族への不正融資の疑いを指摘していた。

さらに、竹中平蔵と木村剛が
2002年の小泉政権の中で
「金融再生プログラム」で資本のルールを変えようとし、
銀行の資本不足誘導をした後、
日本のメガバンクを二つに集約し、
米国資本に支配させようと企んでいたことを
本書で詳細に分析している。

本書の内容が真実か定かではないが、
今、あの頃の金融全体を俯瞰しながら考えると
エコノミスト植草の視点には納得がいく点が多い。

本書はこれをどう読み抜くか
という自分のチャレンジにもなる。
金融に関わる方には
是非ご一読いただきたい。

あなたにとって金融の正義とはなんだろうか?

編集長 尾中謙文

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