Archive for 8月, 2010

ぼくの本棚293

マイケル・サンデル/これから正義の話をしよう


17 8月

今、なぜ「正義」なのか。

NHK教育TVでも放映されているからご存知の方も多いと思うが、
これはバラエティ番組ではなく、ハーバード大学で最も人気のある講義なのだ。

1人殺すか5人殺すかを選ぶしかない状況に置かれたとき、
君たちならどうするだろうか?
サンデルは学生たちに問う。

1人だけ殺すことを正当化していいか?
合理主義によって、確かに、ほかの4人は助かるだろう。

それとも多くの人が感じるように
そんな選択は許されないと思うか?
1人だけ選ぶことなんてできないんじゃないか?

サンデルの問いに
様々な国から来た、様々な人種の
学生たちは次々に自分の独創的な意見を言う。

学問とは真実や真理を問い続けることだ、と
サンデルの授業を見ながら、
何故かほっとし、納得する。
ここにはまだ「大学」がある。

学生の多くは戦争を経験していない。

そのため自己決定のプロセスに
共和主義(共同体的自己決定)か自由主義(自己決定主義)かを反復し、
その差異を見つけ、自分は何を基準に意思決定をしているのかを確認しなければ、
経験主義的な意思決定を越えることはできない。

米国は伝統的に共和主義(米国リバタリアニズム)だが、
共同体的な共和主義はすでに空洞化し、
現実は一人一人の自己決定に委ねられている。

これは今の日本にもあてはまる論理だと思う。
管総理は戦争が未経験なのに
なぜ過去に遡って、韓国にお詫びができるのだろうか。

戦争未経験だと認めた上で、
未来に向けて、お互いが何を学び合い、気づかなければならないか、
初めてその悲惨さも、自身の数少ない言葉で語れるはずだ。

戦争未経験者が、自分が関わっていない戦争を、まるで自分のことのように語る。
いまの日本には居心地の悪い、空洞化した論理や解釈がはしっている。

編集長 尾中謙文

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