ぼくの本棚288 : 河合隼雄/中空構造日本の深層

11 5月

最近の日本政治のぶれは、政治家の個人的な理由かと思っていたら、
河合さんがすでに本書で「日本における父性の弱さ」を指摘をされていた。

つまり日本の長は、リーダーではなく「世話役」で、自らの権力を誇示するのではなく
全体のバランスをとることの方が大事なのだという。

「日本にも時にリーダー型の長が現れるときがあるが、能力を有するにしても、
それに頼らずに無為であることが理想とされる」

敦賀原子力発電所の事故における無責任体制はその典型的な例で、
有事の時にその無能ぶりが露呈する。

「最も近代的な組織の運営において、欧米諸国から見ればまったく不可解としか
思えないような、統合性のない、誰が中心において責任を有しているのかが
不明確な体制がとられていたのである」

この中心が無い構造を指して、河合さんは「中空構造の日本」と呼んでいる。

若者にもアルバイトや趣味やる力を持つ人がいる反面、
中核には結局何をしても「意味が無い」という底無しの空虚感がある。

これからの日本を考える上で、この中心の空性を満たすエネルギーは
はたして何なのか。どこから生まれるのか。
政治家やマスコミは、そのエネルギーを壊すこと無く
日本の智慧としてどう活かしたらいいのか。

「日本の中心」を考える時期がまさにいま来ていることは言うまでもない。

編集長 尾中謙文


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