ぼくの本棚284 : 佐々木毅/政治の精神

07 4月

最近マニフェスト論議が盛んだが、少し前まで日本にはマニフェストが無かった。

日本で最初の政党マニフェストは2003年の衆院選で民主党のものを僕が創った。
その頃、日本にはまだマニフェストが無く、
マニフェストとはこういうものだというスタンダードすら無かった。
多くの政治家は「マニフェストって何?」とその意味すら知らなかった。

当時ヨーロッパ諸国では駅前のスタンドで一冊600円前後で売られていたので、
色々な国の色々な政党のマニフェストを150冊位買ってきて内容を精査し、
日本の政党政治の条件を考え、様々な法律や諸条件と格闘しながら
日本流マニフェストのスタンダードを創ったのだ。
その年の流行語大賞にもなった。

その年、民主党は衆議院の議席を40議席増やした。
選挙後、色々な人が出て自分がマニフェストを創ったと言い出した。
その中には僕が会ったことも無い人もいた。
ああ、日本はこういう国なんだなと冷嘲した。
いつか機会があれば、そういう人には、政治家たちと議論した内容や
何ヶ月も徹夜して創った、想像を絶するプロセスは
どうだったのかを是非聞いてみたいと思っている。

2004年の参院選では、ついにマニフェスト無しには
選挙を戦えない状況が日本の政治全体に現れた。
その年、民主党が自民党を破り2大政党が実現し、
僕はそれ以降日本の政党選挙からは手を引いた。

最近の民主党のマニフェストを見て感じることは、
大手広告代理店の制作チームが、
マニフェストとは何かを、何一つ研究しないで、
僕が創ったマニフェストを、
フォーマットやデザインといった形の模倣だけを繰り返し、
中身を進化させないで作っていることだ。

それは内容をみれば明らかで、
大げさな表現と大言壮語が列挙され、慎重さのかけらも無い。
これはマニフェストを読んで投票した、
有権者の精神を逆撫でするような行為と言っても過言ではない。

政治にとって本当に大切なものは何か。
国民にとって参加する価値のある政治とは何か。
広告代理店はマニフェストの真意を理解し制作しているか。
制作者は政治家と渡りあえるだけの知識、知性、良識と、
政党の真意を活かす志を持っているか。

おそらくは、選挙を利権と考える広告代理店が政治家に日和見になり、
権力という魔性に犯された政治家の言うがままになり、
常識を注意するものが全くいなくなり腐敗臭が漂っているのだろう。
国民はそんなマニフェストを読まされている。

そういう意味で今年の夏の参院選は楽しみだ。
日本国民の政治に対する意識が
どれくらい成長したのかが問われる選挙になるだろう。

その前に是非読んでいただきたいのが本書だ。
日本の問題の核心は何か。
政治を支える精神的支柱は何なのか。
政治を論じる前に本書と格闘してみてはいかがだろうか。

編集長 尾中謙文

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