ぼくの本棚276:作家の愛したホテル/伊集院 静

05 2月

センスという言葉はこの人のためにあるのだと思う。
本書を読み終えたとたん、僕は急に旅に出たくなった。

「旅はそのつどパリを起点としてはじまり、終わっていた。その間、
私は縁あってちいさなホテルの一室と出逢い、その部屋に長く滞在した」

10年間で400日以上をホテルで過ごした著者が選んだホテルは
街の歴史と一体化した存在感と静けさを持っている。

「私はまだ若く、時折、夕暮れ時にホテルの部屋のむかいのアパートから
夕餉(ゆうしょう)の煙りが立ちのぼり、窓灯りが点って団欒らしき人影が
揺れるのを目にすると淋しい気持ちになったこともあった。
とはいえ内心は、どこかに自分が棲める土地があればすべてを捨てて、
そこで生きてやろうという気概もあった」

パリは孤独になれる良い場所だ。
一人きりになると心の内側に触れ、深い自己と対話する時間がもてる。
真の自己がわかる瞬間があるのだ。

伊集院氏が滞在したホテルは
ホテル・ド・ヴィニー(パリ)、ホテル・ノルマンディ・パリエール(ドーブル)、
ル・マキ(コルシカ島)、ホテル・オルフィラ(マドリード)、ヴィッラ・デステ(コモ湖)、
ザ・グレイン・イーグルス・ホテル(スコットランド)、オリッシポ・ラパ・パレス(リスボン)、
シャトー・マーモント(ロサンゼルス)、サ・ラレイ(マイアミ)、アヌマサ(バリ島)等々

本書にはさらに多くのホテルが写真付きである。
どれも最高にセンスが良いホテルだ。
知っている人には懐かしく感じるだろう。

僕も伊集院氏と同じ時期パリにいた。

あなたには旅をイメージした時、滞在したいホテルがあるだろうか。

編集長 尾中謙文

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