ぼくの本棚273 : ベノワ・B・マンデルブロ/禁断の市場

22 1月

自らを異端の科学者と言うマンデルブロは、
フラクタル幾科学を考えだした科学者としてあまりにも有名だ。
フラクタルとはラテン語で「分解された」を意味する。

では何が異端なのか。
マンデルブロは自分が正しいと思うことだけをやり、
嫌がられながらも他人の研究領域まで踏み込み、
科学界において信念を曲げず、いかなる派閥にも属さなかった。

その結果、数学、統計物理学、宇宙論、気象学、水文学、地形学、
解剖学、分類学、神経学、言語学、情報技術、コンピュータグラフィックスなどを
マンデルブロによって統合することができた。

マンデルブロは「複雑さ」という研究を初めて行ったのだ。
フラクタル幾科学には、ユークリッド幾科学のような単純な線や円はほとんど現れない。

フラクタル図形のマンデルブロ集合は、自然現象を解明する法則として
当時流行っていたカオス理論に応用され、あっという間に世界を席巻した。
「複雑さとは、私たちに制御できないようなものすべて」だとマンデルブロは言う。

本書はマンデルブロが経済学について研究した結果だ。
「金融市場」は複雑さそのもので、あらゆる不規則性に溢れている。
マンデルブロにとって、自然現象も経済物理学も「複雑さ」の点で違いはない。
しかし、マンデルブロは金融市場の科学は未完成の段階で、過信すると極めて危険だと言う。

世界はマンデルブロが予言した通り、サブプライム問題によって壊滅的な被害を受ける。
残念ながら本書の警告はその被害を未然に防げなかった。

編集長 尾中謙文

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