Archive for 1月, 2010

ぼくの本棚274 : 栗城史多/一歩を越える勇気


26 1月

栗城さんは単独・無酸素でエベレスト登頂に挑戦した27歳の登山家だ。
大学3年の時、わずか登山歴2年で北米最高峰のマッキンリー(6194m)へ成功して以来、
たった3年で3つの8000m級を含む、6大陸の最高峰登頂に成功した。

なぜ登れるのか。彼は超人なのか。
医者が調べたところ握力も脚力も筋肉量も
同じ年の男性の平均以下だったという。

登山のきっかけが失恋だというから面白い。
本書を読むとがぜん元気になる。

人間の面白さ、可能性、夢を持つことの素晴らしさが本書には溢れている。

好きなことに打ち込むという本質的であたりまえのことを
人はなぜいつも忘れてしまうのだろう。
人は最初はだれでも素人なのに、いつのまにか
なぜ失敗を怖れるようになるのだろう。

「お金もない。コネもない。あるのは夢だけ。誰もがそこから始まり、
僕もそこからすべてが始まった」

夢を実現するのに最も良い方法はあるのだろうか。
栗城さんは「自分の夢をたくさんの人に語ること」だと言っている。

あなたには実現したい夢があるだろうか。
それは何人の人に語っているだろうか。

編集長 尾中謙文

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編集局O

ぼくの本棚273 : ベノワ・B・マンデルブロ/禁断の市場


22 1月

自らを異端の科学者と言うマンデルブロは、
フラクタル幾科学を考えだした科学者としてあまりにも有名だ。
フラクタルとはラテン語で「分解された」を意味する。

では何が異端なのか。
マンデルブロは自分が正しいと思うことだけをやり、
嫌がられながらも他人の研究領域まで踏み込み、
科学界において信念を曲げず、いかなる派閥にも属さなかった。

その結果、数学、統計物理学、宇宙論、気象学、水文学、地形学、
解剖学、分類学、神経学、言語学、情報技術、コンピュータグラフィックスなどを
マンデルブロによって統合することができた。

マンデルブロは「複雑さ」という研究を初めて行ったのだ。
フラクタル幾科学には、ユークリッド幾科学のような単純な線や円はほとんど現れない。

フラクタル図形のマンデルブロ集合は、自然現象を解明する法則として
当時流行っていたカオス理論に応用され、あっという間に世界を席巻した。
「複雑さとは、私たちに制御できないようなものすべて」だとマンデルブロは言う。

本書はマンデルブロが経済学について研究した結果だ。
「金融市場」は複雑さそのもので、あらゆる不規則性に溢れている。
マンデルブロにとって、自然現象も経済物理学も「複雑さ」の点で違いはない。
しかし、マンデルブロは金融市場の科学は未完成の段階で、過信すると極めて危険だと言う。

世界はマンデルブロが予言した通り、サブプライム問題によって壊滅的な被害を受ける。
残念ながら本書の警告はその被害を未然に防げなかった。

編集長 尾中謙文

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編集局O

ぼくの本棚272 : 柳井正/成功は一日で捨て去れ


20 1月

JALが会社更生法を適用した。
日本の翼が倒産したのだ。

確かに会社経営は難しいが、中には優れた経営者もいる。
「会社は、何の努力もせず、何の施策も打たず、
危機感を持たずに放っておいたらつぶれる、と考えている」
と言うユニクロの柳井氏である。

いま世界中がユニクロを目指している。
なぜこんなに安いのか。
なぜこんなに品質やデザインがいいのか。

この矛盾する答えこそユニクロが懸命に走り続ける存在理由でもある。
柳井氏は安定志向が会社を滅ぼすと言っている。

「お客様のことを考えずに、小さな成功で満足してはいけない。
本当は大した成功ではないのに、自分が相当大きなことを
やり遂げたような錯覚をしている経営者もよくいる。

若くして成功したので、その次に何をしたらよいのか
よく分からない人も非常に多いと思う。

成功したという意味合いではなくて、むしろそれは
「成功したという失敗」なのではないだろうか。
成功したと錯覚している人にとって、
その成功は明らかに失敗だったのだと僕は思う」

柳井氏の言葉は的を得ている。

「組織保存の法則というものが働いて、誰でも組織を守ろうとする。
はじめに仕事というものがあって、それを成し遂げ成果を上げるために
組織をつくって分業しなければならないのに、
あたかも組織というもののために仕事が存在するかのような現象だ

「服を変え、常識を変え、世の中を変える」と言う柳井氏にとって
昨日の成功を捨て去ることなど大したことではない。

あなたは自分の輝かしい成功体験を捨て、
さらに素晴らしい他人の知恵を得ようとしたことがあるだろうか。

編集長 尾中謙文

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編集局O

ぼくの本棚271 : 池谷裕二/単純な脳、複雑な私


18 1月

本書は脳科学の最先端を走る池谷氏が、
脳の知られざるシステムについて
母校の高校生に講義した劇的に面白い内容だ。

どうしてこの人の話はこんなにわかりやすいのだろう。
学者とは思えない平易な言葉で、
脳科学という複雑怪奇な森を優しく導いてくれる。

人はなぜ快感に弱いのか。

脳をのぞくと恋愛中かどうかがわかる。
快楽神経と呼ばれるテグメンタ(A10神経)が
恋人の写真を見ただけで反応する。

恋愛はテグメンタを活性化させ心を盲目にさせる。
この人こそが自分にとって運命の人だと奇妙な妄想が生まれる。
覚醒剤ヘロインでもテグメンタに同じ反応が起きるというのだから
脳はもともと快感に弱いのだ。

私とはなにか。
心はなぜ生まれるのか。
なぜこれが間違いないといえるのか。

無意識について何故こんなにわからないのか。

直観やセンスは基底核という部位で成長する。
突然降りてきた「神からの啓示」だと思っていたものは
実は日々の絶え間ない訓練によって生まれている。
基底核は高度な記憶を操りミスをしない完全無比な部位だ。

脳科学に興味のある方にとって、
本書は座右の書というべき奥の深い内容だ。

あなたは自分の脳についてどれくらい知っているだろうか。
あなたは自分の脳をどれくらいコントロールしているだろうか

編集長 尾中謙文

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編集局O

ぼくの本棚270 : ブルース・リプトン/「思考」のすごい力


13 1月

2か月ほど前になるが、田坂広志さんから招待を受け、
細胞生物学者のブルース・リプトンの話を聞く幸運を得た。そこでブルース・リプトンが話した内容はにわかには信じられないような不思議な話だった。

なんと細胞は学習し、記憶し、知性を持っているというのだ。

人間が遺伝子の奴隷になっている限り、遺伝子の宿命であるガンや病気から逃れることはできない。しかし、人間には心があり信念がある。意識や環境を信念の力で変えることによって、遺伝子の呪縛や通念を乗り越えることができるのだとリプトンはいう。

リプトンは細胞学者であるが、量子物理学をやったことで、物質は中身の詰まった実体(粒子)であると同時に、非物質的な力場(波)であることがわかり、身体はエネルギーの経路が複雑に列をなしたものだとわかったと本書で言っている。

「物質は粒子であり波である」は、ブッダが2500年前に言った「空」のことではないか。

大事なことは、遺伝子決定主義による運命論的メッセージを受け入れないことだと言う。そして人間を成長させてくれるのは愛しかないのだという。これは宗教者が言うのではなく、最先端の細胞学者が言っているのだ。

細胞の一つひとつに心があり、心に愛が宿ることで様々な免疫系が発動して、神や宇宙の一部としての発動を起こす。人間は愛を必要とする存在として生を受けている。そういう思考を持つことで、遺伝子の活動や自分の人生をコントロールできるのだと言う。

これは生物学なのか、量子物理学なのか、心理学なのか、宗教学なのか。おそらく、そのどれもがインテグラル(統合)されることで真実が発見されるのだろう。

あなたは自分の遺伝子をコントロールしているだろうか。
それとも過去からの遺伝子に支配されて見えない恐怖を味わっているだろうか。

編集長 尾中謙文

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編集局O