Archive for 10月, 2009

ぼくの本棚263:ダライ・ラマ/科学への旅ー原子への中の宇宙ー


26 10月

11月1日、ダライラマ法王と学者4人の対話が両国国技館で行われる。僕はモデレータを務める。ダライラマ法王とはダラムサラでお話して以来9年ぶりの再会になる。

日本は第二次大戦後、焼け野原の全くゼロの状態から、たった60年で経済力と科学力が世界一の国になった。多くの家族や家を失い、心が絶望の中、物質的な豊かさが一つの指針だった。当時はマスコミも少なくノイズが無かったため、心が目指した通りの結果が得られた。極めてわかりやすい因果の法則だ。

しかし物質的豊かさを得たとたん急におかしくなった。バブルの崩壊、自殺の急増、無気力、貧困、ホームレスなど60年前には想像もつかなかったことが起き始めたのだ。昔を懐かしむ人は、昔の方が人間関係が良かったと言うが、それでは未来はどう創るのか。

人間は心が目指したものは手に入れることができる。しかし、情報の多様化や、社会の欠陥や矛盾で、心が不安定になると隠れていた問題が表面化する。それは物質や科学や宗教だけでは解決できない。心の内側と外側両方から深く考えなければ問題は解決しない。

ダライラマ法王は一国の元首であると同時に、比丘(びく)なので、出家し定められた戒を受けた修行僧である。現代の修行僧が、物理学者のワイツゼッカーやザイリンガー、デヴィッド・ボーム、アーサー・ザイエンスらと量子物理学の話をする様子は痛快だ。本書には最先端の科学者との対話が詳細に描かれている。

法王は本書で科学論争を肯定している。論争によって問題を正面から捉え分析しなければ、解決も合意も得られないからだ。法王は「仏教でも多くの哲学的な見解の形成や改良に、論争が大きな役割を果たしてきた」と言っている。

対話をせずに論争を避け、信念も貫けないどこかの国の政治家は、本書を読み抜き、何がまっとうなのかを深く考えてもらいたい。

あなたは、いま社会で起きていることについて、何がまっとうで何がまっとうでないか、深く考えてみたことがあるだろうか?

編集長 尾中謙文

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