Archive for 6月, 2009

ぼくの本棚260:日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか by 竹内整一


16 6月

「左様ならば」が語源からできた「さようなら」という言葉に、

本書に触れるまで気を遣ったことなどなかった。

僕のまわりも「じゃあ、そういうことで」から「じゃっ」と言って去っていく人も多い。

「さようなら」という言葉には、明るい未来を予感させる心の動きから、

「そうならなければならないのなら」と未来への諦めを予感させる意味もありかなり奥が深い。

阿久悠は「人間はさよなら史がどれくらい分厚いかによって、いい人生かどうかが決まる」と言い、

女性飛行氏アン・リンドバーグは

「これまでに耳にした別れの言葉でこのように美しい言葉を知らない」

と「さようなら」の響きを語る。

本書のさようならの様々な引用は、

著者の見事なセンスによって集積されていて読むほどに面白さが味わえる。

きっと「さようなら」が美しいのは、その人との一瞬の出会いや別れが、

一生忘れないほど印象深く骨に刻まれているからだ。

ではいつもの「さようなら」が悪いかというとそうでもない。

人のあたたかさが込められた「さようなら」は振り返りたくなるほど気持ちが良く、

人の言霊の美しさは心の中に宿っていることを認めざるを得ない。

あなたは「さようなら」について考えたことがあるだろうか。

編集長 尾中謙文

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編集局S

ぼくの本棚259:がんと闘った科学者の記録 by 戸塚洋二著・立花隆編


09 6月

本書は戸塚氏のブログを立花氏が本として形にしたものだ。

残念なことに戸塚氏はがんで去年他界した。

戸塚氏は東大の栄誉教授になった物理学者で、

ノーベル賞を受賞した小柴氏が構想したスーパーカミオカンデで、

実際に実験しニュートリノを検出した人だ。

戸塚氏に検出されるまでニュートリノは、

太陽から数百億個が毎秒我々の身体を突き抜けているが、質量や重量が無いと考えられてきた。

ところが戸塚氏が5万トンのカミオカンデで15個の信号を検出した結果、

物理学の歴史が変わってしまった。

戸塚氏はブログの中でニュートリノの研究への情熱を語っている。

「もし太陽のエネルギー発生時にニュートリノが作られていれば、

それらは光の速さで進むので、地球に8分で届きます。

つまり、太陽ニュートリノを観測すれば、

8分前の太陽のエネルギー発生の現場を研究できるではないか。

これが、太陽ニュートリノ研究を始めたきっかけだったのです」

戸塚氏の純粋性に惹かれるのは僕だけではない。

植物の写真がブログの合間を飾る。これほど知性の高い科学者が植物へ愛情をよせ、

神や人の多様性に感動した想いをよせる、なんとも味わいの深いブログだった。

僕は、戸塚氏が撮影したアストランティア・マヨールという宝石のような花の美しさに胸を打たれた。

戸塚氏の死と花の美しさなど何の関係もない。

だが死期を悟った人が、その残り少ない時間の中で、

葛藤と闘いながらも、限りなく純粋に物理学者としての考えを伝え、

生ききった死生観にアストランティアの美しさが重なって見えたのだ。

「自分が存在したことは、何の痕跡も残さずに消えていく」

あなたは自分が何のために生まれ、社会に何を伝え、世界に何を残したいと考えるだろうか。

編集長 尾中謙文

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編集局S

ぼくの本棚258:フィンランド豊かさのメソッド by 堀内都喜子


01 6月

フィンランドは不思議な国だ。

国際競争力ランキングが世界一なのに、勤務時間は朝8時から午後4時まで、

夏休みは1か月、その上、秋休み、スキー休みが1 週間づつ法律で決められている。

もちろん残業は無く土日も全く仕事はしない。

日本のように塾や予備校が盛んなわけでもなく、制服も校則もないが子供の学力調査は世界一だ。

介護は家族がしてはいけない。

プロにまかせているが料金はタダだから安心して暮らせる。

国の福祉が充実していると未来に不安がない。

フィンランドは何故こんなに豊かなのか。

実は、今でこそIT産業で世界を制覇しているフィンランドも、

1993年バブル崩壊後の失業率が20%にまで上がった時、

経済を立て直すために、高度な教育と研究開発への投資を徹底的におこなった。

その結果、授業料は大学院まですべてタダになり、

ノキアを始めとした世界的IT企業が生まれた。

フィンランドは教育力と福祉力で発展したのだ。

本書にはフィンランドの成長の秘密が、著者の体験をもとに次々に出て来る。

日本はこれだけ経済が発展したのに、なぜ多くの人が心が豊かだと感じられないのか。

真の豊かさとは何なのか。

あなたの考える富と豊かさとは何なのだろうか。

編集長 尾中謙文

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編集局S