Archive for 9月, 2008

ぼくの本棚240:タオ自然学 by F・カプラ


29 9月

70年代初頭の東洋哲学とサイエンスが結合した頃の本はエキサイティングで面白い。

本書には紀元前7世紀のウパニシャッドについての記述がある。

「それは動き、しかも動かない。それは遠く、また近い。それはすべての中にあり、またその中にある」

これは原子物理学の権威オッペンハイマーの言葉の本質だ。

つまり、力と物質、粒子と波、動と静、存在と非存在などの対立概念だ。

オッペンハイマーはアインシュタインらと原子爆弾をつくったが、

後年、古代インド神ヴィシュヌに自分を重ね、生涯に渡って核兵器に反対した。

現在の量子論ではこの対立概念という枠組みさえ超越してしまうが、

2700年前のインドで「存在の本質」がすでに説かれていたのには驚く。

しかも学術的ではなく平易な言葉で。

本書の「タオ」とは宇宙と人生の多様性を追究した道教の「道」からきている。

道教は儒教、仏教とともに中国3大宗教の一つ。

タオの本質は長生きをし、自ら体験し、感動から学びを得ること。

あなたのタオは何だろうか。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚239:ホロン革命 by アーサー・ケストラー


22 9月

生物も無生物も一つのシステムとして成り立っている。

システムは部分であるが全体としての性質をもつ。

そこにはヒエラルキーとして上には従属的で、下には自立的という階層化された考え方がある。

ホロンとは、部分が全体と同じような構造や機能を持つ、という意味のケストラーの造語だ。

ホロンは構造的視点で分析するのにとても便利だ。

元素、組織、器官を例にして物事を分解して説明するのに、

ケストラーは従属と自立という二元論を用いている。

残念ながらホロンは、複雑系の世の中でその先の未来に

いったい何が生まれるのかという世界観までは教えてくれない。

ホロンは70年代閉鎖的ハンガリー社会を打破する思想として生まれた。

ケストラーはいまでも僕の好きな哲学者のひとりだ。

編集長 尾中謙文

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編集局S

ぼくの本棚238:身体症状に宇宙の声を聴く by アーノルド・ミンデル


12 9月

我々が複数のパラレルワールドに同時に存在することは、

以前リサ・ランドールの「ワープする宇宙」でも触れた。

ミンデルはプロセス指向心理学という分野を開発した。

その原点は量子論、シャーマニズム、東洋思想の考え方だ。

「宇宙のあらゆる物質は多次元的であり、周囲のすべてと絡み合っている。

だが現在の生物学は、合意的現実の次元だけで生命について語っているため、

非局在的な量子力学の思考がなければ、生命に関する定義すら生み出すことは難しい」

とミンデルは言う。

量子理論では、物質的な粒子は無から突然出現したことを、不完全ながら解明している。

仏教ではゼロ・ポイントエネルギーの状態を「空・くう」と呼んでいる。

ミンデルは、こうした通常の感覚ではわからない「超感覚的」な力が、

すでに身体には内在していて、人、環境、宇宙のパラレルワールドと絡み合う時にあらわれる、

「生命の起源の神秘」になぞらえている。

あなたの超感覚はどんな時、どんな症状であらわれているだろうか。

編集長 尾中謙文

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編集局S

ぼくの本棚237:万物の理論 by ケン・ウィルバー


03 9月

ケン・ウィルバーをご存じだろうか。

ウィルバーは物質・生命・心を含む宇宙と人間の構造を統合的に捉え、

我々が進むべき未来を考えた哲学者だ。

ビジネスや科学の発展と伝統的な宗教の関係性は兎角説明がつかないことが多い。

世界中に頻発している戦争の原因は宗教をベースにした考え方の違いだとわかっているものの、

人間の受容度の狭さが問題なのか良くなる兆しがない。

エコの考え方、地球温暖化の考え方なども同様だ。

科学が最も発達した米国でさえ、なかなか「違い」を受け容れることができない。

本書では物質から身体、心、霊に至るまでリアリティを求め、

境界が不明確な思想・哲学・宗教を可能な限り経験的な事実に照らし、統合し、

その位置関係を明らかにしようと試みている。

21世紀をどう生きるか悩める貴兄には、具体的な方向感がある必読の書だ。

編集長 尾中謙文

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