ぼくの本棚212:思考の補助線 by 茂木健一郎

23 4月

野村証券が事故をおこした。他の証券会社であればこれほどの衝撃はない。

知の偽装で儲けた金は4000万円。庶民にはほど遠い金額だ。

3人の犯人は京大 OBの中国人。日本人ではないことでホッとしている人もいるだろう。

しかしこれほどの重要なポストを任せたのだ。もはや人種の話ではすまされない。

茂木さんは脳学者として日本で一番売れっ子の知識人。

驚異的な深い知識、専門性に加えて、好奇心、コミュニケーション力の確かさ、

未来学に及ぶ守備範囲の広さは、バラエティで活躍する小器用なお笑いタレントの比ではない。

本来アカデミズムとはこういう人を指すのだ。茂木さんは本書で

「金儲けによって得られる快楽は、真の知的興奮に比べれば、興ざめかつ薄味の偽物にすぎない」と

切り捨てている。

知の多様化によって脳内快楽がどんどん薄められ、興奮をお金に求める人が増えている。

「うちの会社に限って」という驕り、自己陶酔が日本最大手の証券会社になかったか。

人間的資質(正義感、正直さ、誠実さ)を軽視し、

「売れることこそが正義である」という経済原則の中で、

裏でわからなければ何をしても良いという感覚が拭いきれない金融の現状は、

今後、どうしたら正常に機能するのだろうか。

編集長 尾中謙文

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