ぼくの本棚204:戦場カメラマン by 石川文洋

27 3月

チベットのラサで暴動が起き、数十人の死者が出たというニュースを聞いた時、

そして1989年の天安門事件の時も、僕は本書を真っ先に思い出した。

それくらい僕にとって「戦場カメラマン」の文章と写真は鮮烈だった。

「兵士たちが手にしたあらゆる武器で、村を攻撃している。

頭上を回っているガンシップが、私たちの頭をかすめるように機関銃を撃ち込み、ロケットを放った。

B57キャンベラジェット爆撃機が爆弾を落とし、次にナパーム弾を落とすと、部落は火の海となった。

そのあとをジェット機とガンシップが機銃掃射をする」

戦争というのはこういうものなのだと思った。ヒューマニズムなど断片もない。

いくら格好の良い人権の話を星の数ほどしても、戦争をしてはおしまいだ。

殺し合いだけは絶対避けなければいけない。本書を読んだ時、僕は痛烈にそう感じた。

世界中で毎日戦争が起きているが、なんとか対話の道はないものか。

石川氏の写真のように、ベトナム戦争はメディアが戦争の悲惨さや恐ろしさを報じたことで、

米国は猛省を余儀なくされた。

しかし、今回のラサ暴動は、中国がメディアが入ることを禁じて隠ぺいすらしている。

そして最も残念なことは、一番多く投資をしている米国や仏国や英国が、

いち早く中国に対し人権批判を堂々とし、チベットとの対話を促したのに対し、

日本はついに静観し続け、正論も言わず、人間として恥ずべき態度をとったことだ。

政治がはたすべき役割と責任とはいったい何だろうか。

編集長 尾中謙文

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