ぼくの本棚192:走ることについて語るときに僕の語ること by 村上春樹

18 2月

友人が東京マラソンにでる。先日大阪国際女子マラソンを見ていて、

5000メートルの女王と呼ばれた人が30キロを越えて突然失速した。

中距離走とマラソンは異質のスポーツなのだとわかった。

それくらい失速後の何度も転倒しながらの走りは、

ランナーの不完全さをいやというほど目に焼付けられた。

多くの天才ランナーが、フルマラソンの目に見えないボーダーラインに何故悩み苦しむのか、

少しかいま見えたような気がした。

本書で村上氏は35キロを越えることをテラ・インコグニタ(未踏の大地)と呼んでいる。

「フルマラソンのもっとも苦痛に満ちた部分は35キロを越えてやってくる」のだという。

そこまでして何故走るのか。

素朴な牧人メロスは、妹の結婚式に出るため死刑を三日間猶予され、

全裸で走りに走って、必ず帰るという約束を果たし死刑を免れた。

そんな意味のある走りなど今はほとんど無いだろう。

では、人は走ることに何を求めるのか。

アテネからマラトン村までは、実は42.195キロより2キロ足りない不完全なコースだ。

あなたにとって走ることとは何だろうか。

編集長 尾中謙文

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