ぼくの本棚179:ハンナ・アーレント by ジュリア・クリステヴァ

08 1月

本書はクリステヴァのハンナ・アーレント伝である。

ハンナは病弱な子供の頃から無力感を感じながらも、ユダヤ人として誇り高い生き方をする。

ずば抜けた秀才だったハンナは飛び級で入ったマールブルク大学で助教授のハイデガーと出会う。

ハンナが政治哲学、政治思想家として確立するのも、

ハイデガーとの愛憎と思想が絡み合い、影響し合ったからだ。

残念ながらハイデガーからは裏切られ、だまされ続ける。

ハイデガーはヒトラーを称えナチズムに傾倒したのだ。

しかしこれがもとで「全体主義の起源」「人間の条件」が生まれる。

ハンナは亡命先の米国から帰国し、17年ぶりに再会するが

「嫌いな人の真実よりも、好きな人の嘘がいい」と言って非難の渦中にあったハイデガーをかばう。

愛とは物事の本質とは無関係なのだ。著者クリステヴァはパリ大学の教授として

女性のアイデンティティーやフェミニズムを研究し続けてきた。

しかしハンナをみる限り、愛情の上に立ったフェミニズム(男女同権主義)は空しさを感じえない。

難解な思想評伝だが一読する価値はある。

編集長 尾中謙文

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