ぼくの本棚175:憲法九条を世界遺産に by 太田光・中沢新一

21 12月

本書は芸人・太田光が直観で感じるものや大衆が共感するものをお題として振り出し、

宗教学者・中沢新一が知識・情報をベースに太田の話題を象徴的に記号化したり、

連鎖的に展開させる構成になっている。憲法九条については特段の新しい話も解釈も無い。

しかし太田という芸人の素晴らしさは、感情の揺れや機微の察知に特殊な能力を発揮する。

「僕は何年か前に、オウムに与えた影響について、中沢さんに聞いたことがあります。

そうしたら、自分のつくり出した思想や書物が、その先影響を与えたことに関しては

気にしないとおっしゃった」と誰もが聞けない話題に介入する絶妙のタイミングをみせる。

これは中沢の応えの限界点まで配慮した太田の知的パフォーマンスなのだということに気づく。

中沢の底知れぬ知識と認識力を徹底して引き出す。

そして目的を正当化する大義のように、人間がうまく扱えない価値観ほど

時代の中でダイナミックに動くのだということを、あらためて二人の会話を通じて認識するのだ。

編集長 尾中謙文

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