Archive for 8月, 2007

ぼくの本棚137:「世界征服」は可能か?by岡田斗司夫


16 8月

本書は世界征服を目指す人のために書かれた学問書だ。

古くはアレキサンダー大王やジュリアスシーザー、秦の始皇帝、チンギスハーン。

最近ではヒトラーが真剣に世界征服を狙っていたことを考えると、歴史が繰り返す可能性は大だ。

世界征服の支配者には「魔王」「独裁者」「王様」「黒幕」の4タイプがあるのだそうだ。

ちなみに魔王タイプは、自分は正義の味方で悪を憎む「人類絶滅型」でもある。

思いあたる節のある方もいるのではないか。

世界征服にはお金がかかる。

秘密基地を作ったり武器を買ったりしなければならない。

本書では「資金調達と設備投資」や「後継者問題」についても指南している。

信じこむと危険だが、やわらかアタマを鍛えたい向きにはクスリと笑える発想転換本だ。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚 136:戦争請負会社 by P・W・シンガー


13 8月

冷戦終結後、各国が軍縮に向かった結果、軍事業務を代行する会社が出て来た。

世界中で経験豊富な一個師団を迅速に派遣してくれる。

戦争も民営化の時代になったのだ。

老人介護の派遣で騒ぎ「国民のために改憲する」などと

眠いことを言っている国はもっと冷静に考えたほうがいい。

アブグレイブ刑務所で捕虜虐待をしたのも、

イラク戦争での2万人に及ぶ軍事要員も、派遣された兵士だ。

それだけではない。

ミサイル発射台やクウェート砂漠のドーハ基地の建設、

F117ステルス戦闘機、アパッチ攻撃ヘリコプター、F15戦闘機、

U2偵察機などの高度兵器の維持管理、

同盟軍の支援など戦争請負企業の範囲は拡大する一方だ。

何故か。戦争ビジネスは儲かるからだ。

今世界で何が起きているのか、

若者は冷静に客観的にあらゆる情報を集め事実を知ったほうがいい。

極限状況で自分自身の判断力を高めるためだ。

ボランティアで戦争に関わる人はなおさらだ。

このまま政府や政治家にまかせておくと世界が多極化する中、

有事のとき後悔する日がくるかもしれない。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚 135:生物と無生物のあいだ by 福岡伸一


10 8月

生物と無生物を識別するものは何か。

著者は遺伝子のDNA二重ラセンの対構造にあるという。

DNAの二重ラセンはフィルムのポジとネガの関係のように互いに自己複製をする能力がある。

例えば人が怪我をしても、たいしたことのない傷であればすぐに治ってしまうのは何故か。

生命はパーツやピースが欠けても何らかの方法でバックアップ機能が働き欠落を埋め合わすが、

プラモデルが壊れても自らが自動的に直すことはできない。

このダイナミズムこそが生物の特徴なのだと著者はいう。

それは食物を食べ、身体に入れた分子が一端は全身に散らばるが、

やがて身体から出ていく「動的な平衡状態」も同様だ。

本書は今まで考えてもみなかった角度から様々なエピソードが現れ、

最後まで「生命とは何か」という知的好奇心のテンションが落ちることはない。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚 134:輝く都市 by ル・コルビジェ


09 8月

コルビジェは都市計画をつくる時、人間生活の諸機能より遥かに高い目標である

「生きる喜び」がなければいけないと言っている。

1922年に人口300万人の現代都市構想を掲げ、1952年にマルセイユのアパートを具現化した。

コルビジェは高層アパートを造ることによってできた空地を公園にすることで、

人間らしい尊厳のある生活と太陽・空間・緑など自然との調和を目指した。

都市には「本質的な快適さ」が必要で、これがだれの手にも届くところに無いと、

疲労と消耗が死ぬまで続き、衰退や社会的危機につながると警告している。

東京の人口は1264万人、東京圏で3400万人以上もいる。

CO2濃度増加と温暖化は解決していない。東京は「輝く都市」なのか。

建築家と都市計画に関わる人達の使命とはいったい何なのだろうか。

編集長 尾中謙文

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ぼくの本棚 133:日本の風景・西欧の景観 by オギュスタン・ベルク


08 8月

風景は形態を知覚して得た情報と、記憶から脳によって創られた情報とで構成されている。

これを著者は「知覚の図式」と呼んでいる。

最高の形態である「文化」は、現実の領域から練り上げられ、

想像上の領域を生み出し、芸術・宗教・科学に図式化される。

風景は歴史的背景と物質的社会的背景が結びつき、

さらに地政学的な要因などにより、環境を形成しながら生まれる。

「日本の風景」は様々に複雑な風土がありながら、

日本人の心の中の原風景がある種の共通性を持つのは、

脳が知覚の図式化により、共通の原風景を造り出しているからだ。

次の「日本の風景」が経済優先のものになるか生活環境優先のものになるか、

都市集中・地方過疎が想像を超える早さで進行する中、

鍵はわずか2000万人の20歳以下の若者にかかっている。

編集長 尾中謙文

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