ぼくの本棚 90:世界で一番売れている薬 by 山内喜美子

25 5月

本書は薬の宣伝ではない。

「スタチン」という高脂血症治療薬の新薬開発プロセスのドキュメンタリーである。

スタチンは血液中コレステロール濃度を下げる薬だ。

どれくらい売れているかというと、世界でスタチン市場は2兆8千億円もある。

なぜこんなに売れているのか。理由は簡単だ。

死亡原因の上位となる「心筋梗塞」や「脳血栓」になった人はスタチンがないと治らないからだ。

サイレントキラー(沈黙の殺人者)と呼ばれる高脂血症は自覚症状が無く、

密かに進行して、発症した時はすでにアウトという恐ろしい病だ。

日本では600万人が治療しているが、今後メタボな生活習慣病が進めば、

さらに増えることは疑う余地が無い。

スタチンは30年前、遠藤博士が青カビから発見したが、

商品化したのは日本ではなく、米国大手の製薬会社だった。

本書を読むと、一つの薬が製品化されることがいかに大変かがよくわかる。

「動脈硬化のペニシリン」と呼ばれながら、遠藤博士は未だノーベル賞をもらってはいない。

編集長 尾中謙文

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