ぼくの本棚 50:アントニ・ガウディとはだれか by 磯崎新

27 3月

スペインのバルセロナを訪れた人に印象を聞くと、ほとんどがガウディの設計したサグラダ・ファミリア教会を挙げる。尖塔群によって構成された、巨大なロケットのような建築物は、未だに完成されていない。建築物というよりは、有機体のような、うねりの波の連続が形を創った、過剰な美しさがある。何故か見ているだけで、ゾクゾクするような感覚が沸き上がる。ガウディのデザインに共通するのはSF映画で見たような奇妙な記憶回帰と、バウハウス建築の計算された機能美を鼻で笑ったような、不思議な幾何学形態をした回転放物体だ。本書は日本を代表する建築家・磯崎氏による40年にわたる研究のエッセンスが溢れている。多様な解釈は遠かったガウディを少し引き寄せた気もするが、闇の中の本質は不完全で、絡み合った糸は未だ解けてはいない。

編集長 尾中昭文

参考になったと思われた方、クリックしていただけると嬉しいです
にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 本ブログ おすすめ本へ

Comments are closed.